EU MAG 核融合エネルギー研究で日欧協力が進む「サテライト・トカマク計画」

日本とEUは長年にわたり、社会が直面するさまざまな課題へ対応すべく、数多くの共同研究を行ってきている。その一つが持続可能なエネルギー生産を目指す核融合エネルギー研究、すなわち、量子科学技術研究開発機構(QST)那珂核融合研究所(茨城県那珂市)で進行中の「サテライト・トカマク計画」(JT-60SAプロジェクト)だ。

情報源: EU MAG 核融合エネルギー研究で日欧協力が進む「サテライト・トカマク計画」

サテライト・トカマク事業 (07-05-04-04) – ATOMICA –

日欧BA協定により実施されるサテライト・トカマク計画事業と日本の国内計画の下、先進超伝導トカマクJT-60SAを建設・運転するJT-60SA計画が日本原子力研究開発機構(以下、原子力機構)の那珂核融合研究所(以下、那珂研)で進められている。JT-60SA計画のミッションは、ITERへの支援及び原型炉へ向けた研究を行い、核融合エネルギーによる発電の早期実現に貢献することである。図1に示すJT-60SAは、プラズマ電流5.5 MA、主半径約3m、トロイダル磁場強度2.25 T(テスラ)において臨界プラズマ条件クラスの超高温重水素プラズマを電流拡散等のプラズマ特性時間よりも長い100秒間維持できる装置で、原型炉に想定される高プラズマベータ条件での完全電流駆動の実証を追究し、能動的なプラズマ安定化を行い、ITERで想定される高プラズマ密度でのHモード閉込めを先行試験するための先進的な機能を有している。
2008年12月までに、日欧実施機関を含む統合設計チームが中心となって1)目標プラズマ性能を確保しつつ、高ベータプラズマと両立するダイバータ形状の最適化を含めプラズマ配位の実現可能領域を拡張し、高ベータプラズマの生成に有効なプラズマの形状制御性を向上、2)真空容器内に高速プラズマ位置制御コイル並びに高ベータプラズマの実現に不可欠な抵抗性壁モード安定化用コイル、及び遠隔保守機能を備えたダイバータ機器の設置が可能、等の高い柔軟性を併せ持つ設計を完了し、JT-60SA計画は2019年のファーストプラズマを目指して計画が進められている。
JT-60SAの各機器は日欧の実施機関が分担して製作し、那珂研で組立てが行われる。2007年に超伝導ポロイダル磁場コイルの仕様が決定された以降、企業との契約による機器製作が開始されている。日本分担機器については、那珂研に超伝導ポロイダル磁場コイルの導体製作棟及びコイル巻線棟が建設され、超伝導導体の製作が開始された。2012年には全6対の内最下部のコイルが完成した(図2)。また、真空容器に関しては、最初の40°セクター(トーラス方向の40°分)のインボード及びアウトボード部分が2011年4月に那珂研に納入され、2010年に竣工した真空容器組立棟において両者が溶接された(図3)。2013年夏現在で、全10セクターの内6セクターが完成している。真空容器内機器については、1万枚以上に及ぶプラズマ対向壁用の黒鉛及び炭素繊維材タイルの製作が進行中である。ダイバータカセットは、製作が開始されるとともに、ダイバータの強制冷却用配管の流量試験が完了した。並行して、炭素材モノブロックターゲット開発のための耐熱試験が進められている。
欧州分担機器については、超伝導トロイダル磁場コイルの設計が完了し、2010年末より超伝導導体の製作が開始された。2011年には、トロイダル磁場コイルの冷却試験用クライオスタットが完成するとともに、高温超伝導リードの技術仕様が確定した。クライオスタットについては2010年にクライオスタットベースの製作が開始され、2013年に那珂研に搬入された(図4)。イタリアが担当するクエンチ保護回路は設計が完了し、2011年に製作が開始されるとともに、イタリアとフランスが担当する超伝導コイル等の電源の技術仕様が確定した。
JT-60SAは既存の建屋を再利用するため、本体室に設置されていた既存のJT-60を解体する必要があったが、JT-60解体作業は予定通り実施され、2012年10月に終了した。JT-60SA本体の組立てとしては、那珂研に搬入されたクライオスタットベースの設置作業が2013年から開始されている。
このような建設活動と並行して、JT-60SAにおけるプラズマ実験に向け、2010年にはJT-60SAリサーチプランの検討が日欧共同で開始された。より多くの研究者の参加を求めて、日本では原子力機構及び核融合エネルギーフォーラム、欧州では欧州実施機関及びEFDA(European Fusion Development Agreement)を通じて、日欧の研究者の意見集約を図る体制が整ってきた。JT-60SAの最新情報については、JT-60SA Newsletterとして毎月ウェブで公開されている。JT-60SAリサーチプランも、2011年よりウェブ公開されており、今後改訂毎に更新される予定である。

情報源: サテライト・トカマク事業 (07-05-04-04) – ATOMICA –

2019.04.11更新